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――何かがおかしい。
石田家筆頭家老、島左近は、佐和山城の廊下を歩きながらかぶりを振った。
主君、石田三成の様子が、である。
朝、寝起きの悪い主君を起こして以来姿を見ていないし、声も聞いていない。下げられてきた朝食の膳を見ても、ほとんど手が付けられていなかった。元から食の細い性質ではあるが、出されたものを残す行為を嫌っていた。食べ物にも、百姓にも、料理番にも申し訳がないと。
具合が悪くて臥せっているのではないか。
執務に追われて寝食も忘れているのではないか。
城の者たちが噂を立てる。それは、彼が好かれている証でもあり、その傍に仕えている左近にとっても喜ばしい事ではあるのだが……。
何にせよ、奇妙である。
病だとしても、昨夜もいつものように遅くまで文机に向かっていたし、朝、起こした時もぼんやりとしていたが、それもいつもの事である。
執務に追われているのなら、自分に何一つ声がかからないのはおかしい。
こうして、城内の者を代表するような形で私室に出向き、様子を見る事になったのだ。
……が。
「殿。とーの」
襖の前に膝をつき、声をかける。
しかし、返事はない。
それどころか……。
彼は血相を変え、その襖をぴしゃりと勢いよく開けた。
……何という事か。
開いた窓から乾いた風が吹きこみ、文机に置かれた開きっぱなしの書物を煽る。
――そこには、誰もいなかった。
全くのもぬけのから……人がいた気配すら、残っていない。
書置きも何もなく、ただ忽然と。
いなくなっていた。
* * *
一体どこへ行ったというのか。
ばたばたと城内の隅々まで探し回り、城の者に片っ端から問い詰めて行くのだが、影も形も見えなければ、どこかで見かけたという話もない。
忽然と姿を消してしまった城主の行方は、分からず仕舞いであった。
まさか何者かが攫って行ったのでは――。
歯に衣着せぬ辛辣な物言いが誤解を生むせいか、とにかく敵の多い人である。しかし、だからといって城内に忍びこんでまで攫って行ったりするだろうか?
左近はため息をつき、頭を振った。
人の目を盗んで城下に出てしまわれたのだろうか……。
あの主の性格からして、ありえない事ではない。しかし、それならそれで一言告げてくれても良いではないか。
全くわからない。
左近はもうひとつ、深々とため息をついた。
……と、その時である。
「左近殿?」
背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには今まさに探している三成……と瓜二つでありながら、顔つきの全く違う、その兄。穏やかな笑顔を湛えた、石田正澄の姿があった。
「正澄……さん?」
「お久しぶりです。所用で近くまで来たものですから、佐吉君の顔を見ようかと立ち寄らせて頂いたのですが……何やら唯事ではないご様子ですね」
形の良い眉根を寄せる。
左近は正澄に、朝から三成の様子がおかしく、忽然と姿を消してしまった事を説明した。話を聞きながら、彼はしばし目を伏せて思案し……。
「もしかしたら……」
ぽつり、と呟いた。
「思い当たる節がおありで?」
「……いえ。佐吉君が、誰にも告げず一人で行きそうな所が、他に思い当たらないだけです。逆に言えば、そこに居なければ、残念ながら僕には。場所もここから若干離れていますので、可能性としてもどれだけあるか……」
「離れている、と仰いますと?」
「速駆けの馬を走らせ続けて半刻程度……といった所でしょうか」
「それでも、日が陰る前には戻って来られる距離ですな」
「ええ、充分に」
「ならば、馬宿に行ってみますかね。馬が無くなってりゃ、そこに行った可能性も高くなるってもんですし」
端っから、そんな事は考えてもいなかった。
誰にも告げず、馬に乗って城を出るなど。
そんな、馬鹿げたこと。
だから、馬宿など見てもいなかった。
しかし――。
「なんだってあの人は……」
馬が一頭いなくなっているのを確認するなり、左近は頭を抱えた。
その「馬鹿げたこと」が、どうやら現実に起こってしまったらしい。
実際にいなくなっているのを見るまで、正澄の心当たりとやらは半信半疑、いや、八割がた疑っていた。
いくらなんでも、と。
しかし、三成以外の城の者は全員いて、尚且つこうして馬が無くなっている以上、どうやら信じるほかないようだ。
「すまんが、馬を二頭、早急に用意してくれ」
ため息の混じった声で、顔を青く染めた馬屋番に命じる。
自分がほんの少し馬宿から離れた隙に、城主が馬に乗って城を抜け出したらしい、となっては、青ざめるのも無理のない話である。
「すんません、すんません左近殿。ちょっと離れた隙に、まさかこんな事になるとは……。殿にもしもの事があったら……」
「いや、お前さんのせいじゃないさ。だからそんな、今にも首を括りそうな顔しないでくれ」
左近の言葉に安堵したのか、幾分、馬屋番の顔に血の気が戻ったように見えた。
「では、参りましょうか」
毛並みの良い馬に跨り、その首を北に向けて正澄が馬を走らせる。
慌てて後を追い、馬の首を並べながら左近がその端正な横顔に問いかけた。
「正澄さん。一体どちらに向かってるんです?」
「……近江の、石田村へ」
「石田、というと……」
「我が石田家が治める、小さな農村であり……僕らの、生まれ故郷です」
道中、一度馬を休ませ、出立してから半刻とすこしが過ぎたころ……。
二人は、近江の石田村に辿りついていた。
派手さは全くと言っていいほどない。
質素で閑静な、綺麗な村だった。
凛、と。
集落に入った途端、空気が音を立てたかのような。
そんな、村だった。
それは、この兄弟が纏う空気、そのもの。
(なるほどね)
左近はひとり、口の中で呟いた。
(殿たちが生まれ育った村……”らしい”といえば”らしい”な)
それからしばらく馬を進めていく。
――と、沢で馬を休めている一人の男が目に入った。
目立たぬようにとしたつもりか、地味な着物に身を包んでいるが、却ってその端正な顔と見事な赤毛を引き立たせる結果になり、目を引くことこの上ない。
「殿」
左近が近寄り、声をかけると、びくり、と男の肩が跳ねた。
「なにやってるんですか、こんなところで」
男――石田三成は、普段通り眉間に皺を寄せながら、振り返る。
「そういう貴様こそ、何をしているのだ。何故ここにいる」
「何も言わずにいなくなったりするから、探しに来たんじゃないですか」
「やはり、村に戻っていたのですね。佐吉君」
「なんで兄上までいるんですか」
「ただの、偶然です」
「……変に心配かけさせまいと、夕餉までには戻るつもりだったのに……」
こつん、と、ぶつぶつと不平を呟く弟の額を叩く正澄。
「城主が勝手に城を抜け出す方が、心配になります。左近殿に、言う事があるでしょう?」
「…………」
「佐吉君?」
「……左近、心配をかけさせた。すまぬ」
兄に促され。
ばつが悪そうに目をそらしながら。
ぽつりと、謝罪の言葉を口にした。
城を抜け出したと知った時は、呆れ半分で、見つけたら叱らなければならないと思っていたが、これでは怒るに怒れないではないか。
左近は、甘いな、と己に向けて心の中で呟いて。
「まぁ、ご無事なら良いですよ。……でも、なんでまた城を抜け出したんです? 里帰りなら、一言言って下されば良いものを」
「それは……」
今の世では、あまり、大きな声では言えないと前置きをして、三成は言葉を続けた。
「この間、弥九郎が言っていたのだ。今日は”はろいん”という吉利支丹たちの盆の日だと。死者が家に帰る日だと。だから、母上と兄上の墓参りをしてきた」
兄上?と左近は正澄を見た。
「僕の事じゃないですよ」
「そんなん見りゃ分かります」
「早世した、一番上の兄です」
「なるほど。……でも、殿? 吉利支丹の盆なのに、戻ってくるんですか?」
「吉利支丹ではないから、恐らく来てはいないだろうな。だが……それでも、職務に追われて盆に帰る事が出来なかったから、せめてもと」
「そんなに遠くないんですから、盆くらい休みましょうよ。後々になってこんな面倒な事するくらいなら」
「五月蝿い奴だな」
分かっている、と言いたげに眉間に皺を寄せた。
しかしその表情は、どこか嬉しそうであった。
「さて……佐和山に戻る前に、寄って行きたい場所があるのですが」
まだ日は高い。
城の者の為にも、一刻も早く三成を連れて戻りたい所ではあるのだが……。
「どこです?」
案内してくれた恩もある以上、無下にも出来ず、左近は正澄に尋ねた。
「近くに、昔から馴染みにしている美味い団子屋がありまして。折角ですから、如何かと」
「そうだな。俺も久しく口にしていない」
二人がかりで言われては、駄目とも言えず。
「……分かりました」
半ば渋々ではあったが、二人が幼い頃から口にしており、気に入っているであろう団子の味が気にならないと言うのも嘘になる。
「そうそう」
その団子屋に向かう道中で、正澄がぽつりと口を開いた。
「”はろいん”といえば、厄除けの為に物の怪に扮するそうですが、こんな習慣があるそうですよ」
いやな予感がする。
「お菓子を寄越せ。さもないと……呪い殺す」
左近は、その口調と表情から、直感で嘘だと思ったが、主君の兄に向かって言えるはずもなく。
「……正澄さん。遠まわしに言っているようで限りなく直球に、団子を奢れって言ってません?」
そう言うのが、精一杯の抵抗だった。
----------------------------
ホントはお盆に書く予定だった話。
そして書きあがりが、日付変更ギリギリという。
「Trick or treat (お菓子をくれなきゃイタズラするぞ)」
この習慣が出来たのは、ほんの数十年前だとか…。
石田家筆頭家老、島左近は、佐和山城の廊下を歩きながらかぶりを振った。
主君、石田三成の様子が、である。
朝、寝起きの悪い主君を起こして以来姿を見ていないし、声も聞いていない。下げられてきた朝食の膳を見ても、ほとんど手が付けられていなかった。元から食の細い性質ではあるが、出されたものを残す行為を嫌っていた。食べ物にも、百姓にも、料理番にも申し訳がないと。
具合が悪くて臥せっているのではないか。
執務に追われて寝食も忘れているのではないか。
城の者たちが噂を立てる。それは、彼が好かれている証でもあり、その傍に仕えている左近にとっても喜ばしい事ではあるのだが……。
何にせよ、奇妙である。
病だとしても、昨夜もいつものように遅くまで文机に向かっていたし、朝、起こした時もぼんやりとしていたが、それもいつもの事である。
執務に追われているのなら、自分に何一つ声がかからないのはおかしい。
こうして、城内の者を代表するような形で私室に出向き、様子を見る事になったのだ。
……が。
「殿。とーの」
襖の前に膝をつき、声をかける。
しかし、返事はない。
それどころか……。
彼は血相を変え、その襖をぴしゃりと勢いよく開けた。
……何という事か。
開いた窓から乾いた風が吹きこみ、文机に置かれた開きっぱなしの書物を煽る。
――そこには、誰もいなかった。
全くのもぬけのから……人がいた気配すら、残っていない。
書置きも何もなく、ただ忽然と。
いなくなっていた。
* * *
一体どこへ行ったというのか。
ばたばたと城内の隅々まで探し回り、城の者に片っ端から問い詰めて行くのだが、影も形も見えなければ、どこかで見かけたという話もない。
忽然と姿を消してしまった城主の行方は、分からず仕舞いであった。
まさか何者かが攫って行ったのでは――。
歯に衣着せぬ辛辣な物言いが誤解を生むせいか、とにかく敵の多い人である。しかし、だからといって城内に忍びこんでまで攫って行ったりするだろうか?
左近はため息をつき、頭を振った。
人の目を盗んで城下に出てしまわれたのだろうか……。
あの主の性格からして、ありえない事ではない。しかし、それならそれで一言告げてくれても良いではないか。
全くわからない。
左近はもうひとつ、深々とため息をついた。
……と、その時である。
「左近殿?」
背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには今まさに探している三成……と瓜二つでありながら、顔つきの全く違う、その兄。穏やかな笑顔を湛えた、石田正澄の姿があった。
「正澄……さん?」
「お久しぶりです。所用で近くまで来たものですから、佐吉君の顔を見ようかと立ち寄らせて頂いたのですが……何やら唯事ではないご様子ですね」
形の良い眉根を寄せる。
左近は正澄に、朝から三成の様子がおかしく、忽然と姿を消してしまった事を説明した。話を聞きながら、彼はしばし目を伏せて思案し……。
「もしかしたら……」
ぽつり、と呟いた。
「思い当たる節がおありで?」
「……いえ。佐吉君が、誰にも告げず一人で行きそうな所が、他に思い当たらないだけです。逆に言えば、そこに居なければ、残念ながら僕には。場所もここから若干離れていますので、可能性としてもどれだけあるか……」
「離れている、と仰いますと?」
「速駆けの馬を走らせ続けて半刻程度……といった所でしょうか」
「それでも、日が陰る前には戻って来られる距離ですな」
「ええ、充分に」
「ならば、馬宿に行ってみますかね。馬が無くなってりゃ、そこに行った可能性も高くなるってもんですし」
端っから、そんな事は考えてもいなかった。
誰にも告げず、馬に乗って城を出るなど。
そんな、馬鹿げたこと。
だから、馬宿など見てもいなかった。
しかし――。
「なんだってあの人は……」
馬が一頭いなくなっているのを確認するなり、左近は頭を抱えた。
その「馬鹿げたこと」が、どうやら現実に起こってしまったらしい。
実際にいなくなっているのを見るまで、正澄の心当たりとやらは半信半疑、いや、八割がた疑っていた。
いくらなんでも、と。
しかし、三成以外の城の者は全員いて、尚且つこうして馬が無くなっている以上、どうやら信じるほかないようだ。
「すまんが、馬を二頭、早急に用意してくれ」
ため息の混じった声で、顔を青く染めた馬屋番に命じる。
自分がほんの少し馬宿から離れた隙に、城主が馬に乗って城を抜け出したらしい、となっては、青ざめるのも無理のない話である。
「すんません、すんません左近殿。ちょっと離れた隙に、まさかこんな事になるとは……。殿にもしもの事があったら……」
「いや、お前さんのせいじゃないさ。だからそんな、今にも首を括りそうな顔しないでくれ」
左近の言葉に安堵したのか、幾分、馬屋番の顔に血の気が戻ったように見えた。
「では、参りましょうか」
毛並みの良い馬に跨り、その首を北に向けて正澄が馬を走らせる。
慌てて後を追い、馬の首を並べながら左近がその端正な横顔に問いかけた。
「正澄さん。一体どちらに向かってるんです?」
「……近江の、石田村へ」
「石田、というと……」
「我が石田家が治める、小さな農村であり……僕らの、生まれ故郷です」
道中、一度馬を休ませ、出立してから半刻とすこしが過ぎたころ……。
二人は、近江の石田村に辿りついていた。
派手さは全くと言っていいほどない。
質素で閑静な、綺麗な村だった。
凛、と。
集落に入った途端、空気が音を立てたかのような。
そんな、村だった。
それは、この兄弟が纏う空気、そのもの。
(なるほどね)
左近はひとり、口の中で呟いた。
(殿たちが生まれ育った村……”らしい”といえば”らしい”な)
それからしばらく馬を進めていく。
――と、沢で馬を休めている一人の男が目に入った。
目立たぬようにとしたつもりか、地味な着物に身を包んでいるが、却ってその端正な顔と見事な赤毛を引き立たせる結果になり、目を引くことこの上ない。
「殿」
左近が近寄り、声をかけると、びくり、と男の肩が跳ねた。
「なにやってるんですか、こんなところで」
男――石田三成は、普段通り眉間に皺を寄せながら、振り返る。
「そういう貴様こそ、何をしているのだ。何故ここにいる」
「何も言わずにいなくなったりするから、探しに来たんじゃないですか」
「やはり、村に戻っていたのですね。佐吉君」
「なんで兄上までいるんですか」
「ただの、偶然です」
「……変に心配かけさせまいと、夕餉までには戻るつもりだったのに……」
こつん、と、ぶつぶつと不平を呟く弟の額を叩く正澄。
「城主が勝手に城を抜け出す方が、心配になります。左近殿に、言う事があるでしょう?」
「…………」
「佐吉君?」
「……左近、心配をかけさせた。すまぬ」
兄に促され。
ばつが悪そうに目をそらしながら。
ぽつりと、謝罪の言葉を口にした。
城を抜け出したと知った時は、呆れ半分で、見つけたら叱らなければならないと思っていたが、これでは怒るに怒れないではないか。
左近は、甘いな、と己に向けて心の中で呟いて。
「まぁ、ご無事なら良いですよ。……でも、なんでまた城を抜け出したんです? 里帰りなら、一言言って下されば良いものを」
「それは……」
今の世では、あまり、大きな声では言えないと前置きをして、三成は言葉を続けた。
「この間、弥九郎が言っていたのだ。今日は”はろいん”という吉利支丹たちの盆の日だと。死者が家に帰る日だと。だから、母上と兄上の墓参りをしてきた」
兄上?と左近は正澄を見た。
「僕の事じゃないですよ」
「そんなん見りゃ分かります」
「早世した、一番上の兄です」
「なるほど。……でも、殿? 吉利支丹の盆なのに、戻ってくるんですか?」
「吉利支丹ではないから、恐らく来てはいないだろうな。だが……それでも、職務に追われて盆に帰る事が出来なかったから、せめてもと」
「そんなに遠くないんですから、盆くらい休みましょうよ。後々になってこんな面倒な事するくらいなら」
「五月蝿い奴だな」
分かっている、と言いたげに眉間に皺を寄せた。
しかしその表情は、どこか嬉しそうであった。
「さて……佐和山に戻る前に、寄って行きたい場所があるのですが」
まだ日は高い。
城の者の為にも、一刻も早く三成を連れて戻りたい所ではあるのだが……。
「どこです?」
案内してくれた恩もある以上、無下にも出来ず、左近は正澄に尋ねた。
「近くに、昔から馴染みにしている美味い団子屋がありまして。折角ですから、如何かと」
「そうだな。俺も久しく口にしていない」
二人がかりで言われては、駄目とも言えず。
「……分かりました」
半ば渋々ではあったが、二人が幼い頃から口にしており、気に入っているであろう団子の味が気にならないと言うのも嘘になる。
「そうそう」
その団子屋に向かう道中で、正澄がぽつりと口を開いた。
「”はろいん”といえば、厄除けの為に物の怪に扮するそうですが、こんな習慣があるそうですよ」
いやな予感がする。
「お菓子を寄越せ。さもないと……呪い殺す」
左近は、その口調と表情から、直感で嘘だと思ったが、主君の兄に向かって言えるはずもなく。
「……正澄さん。遠まわしに言っているようで限りなく直球に、団子を奢れって言ってません?」
そう言うのが、精一杯の抵抗だった。
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ホントはお盆に書く予定だった話。
そして書きあがりが、日付変更ギリギリという。
「Trick or treat (お菓子をくれなきゃイタズラするぞ)」
この習慣が出来たのは、ほんの数十年前だとか…。
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Contents
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- [人物]石田家家臣(1)
- [人物]豊臣恩顧1(1)
- [人物]豊臣恩顧2(1)
- [人物]宇喜多家(1)
- [読切]星に願いを(佐和山)(1)
- [読切]続:星に願いを(子飼い)(1)
- [連作]説明(1)
- [徒然]呟き1(1)
- [連作]ハジマリの場所(1)
- [連作]雨降って(1)
- [読切]夏の日に(佐和山)(1)
- [徒然]呟き2(1)
- [連作]元服(1)
- [読切]ヤマアラシ(佐和山)(1)
- [読切]兄の思惑(石田兄弟)(1)
- [連作]戦場に咲く花(1)
- [読切]秋の夜長の(子飼い)(1)
- [連作]毒蛇の若子(1)
- [連作]その先に見えるもの(1)
- [読切]風に消えて…(佐和山)(1)
- [読切]死ニ至ル病(子飼い)(1)
- [読切]最後の願い(佐和山)(1)
- [読切]ねねの戦い(子飼い)(1)
- [連作]業(カルマ)(1)
- [連作]悔恨(1)
- [読切]あの日から…(前)(佐和山)(1)
- [読切]あの日から…(中)(佐和山)(1)
- [読切]あの日から…(後)(佐和山)(1)
- [連作]太陽が沈んだ日(1)
- [読切]めめんともり(子飼い)(1)
- [連作]襲撃事件(1)
- [連作]椿(1)
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- [連作]祈りにも似た(1)
- [連作]誓い(1)
- [徒然]呟き3(1)
- [連作]佐和山・落城(1)
- [連作]イロトリドリノセカイ(1)
- [連作]ひだまりの中で★(1)
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